【コラム・組織ネタ】会社が傾くときってどんなときだろう

会社の経営が傾く原因は色々あると思います。

例えば経済環境の悪化。明治維新で靴を履く人が増えたとき、大量の下駄屋さんが廃業し、下駄職人が失業したと言います。

強い競合相手の登場。経営陣による放漫なお金の使い方。などなど。

ある大手の現場常駐型の戦略コンサルファームの代表が、以前こんなことをおっしゃってました。

「会社で、幹部でなく普通の社員から見ても不合理だと思えることが増えると会社は傾く」と。

都内にこんな教育系人材派遣会社がありました。

売り上げは8億円で、純利益は3億円という優良企業。

ところが、あることがきっかけでまたたく間に赤字に転落してしまいました。

この会社には年間1億3千万円の売上をあげるカリスマ営業社員がいましたが、なぜか万年ヒラ社員。

その一方で、ハラスメントや不正経理などでよく問題を起こすある営業社員は、「創業者の覚えがめでたい」ということで万年取締役だったのです。

そのことを他の社員は知っていますから、モチベーションが上がらずどんどんやめていきます。

そしてある年、カリスマのヒラ社員が大量の顧客企業を抱えて辞めてしまったのです。

また、問題のある万年取締役の営業社員は、登録している講師の先生方からも評判が最悪でした。「面接した学校の合否を講師にすぐに連絡しない」「実績に関係やく講師の時給を決定する」などなど。

そして、会社は「新卒がたくさん入ってくるように駅前のしかもオシャレなオフィスに移転しよう」と、引越しをしたのですが、ここでも問題が発生しました。移転先のオフィスを万年取締役に決めさせたため、移転したあとでこのオフィスが「子ども連れの親御さんの来客禁止」「対外的なセミナー禁止」であることが判明したのです。教育系の人材派遣会社なので、講師をご家庭に派遣することもあるため、お子さん連れの富裕層は多く訪れます。それが禁止となったのは打撃でした。講師による指導体験が受けられないからです。しかも、このオフィスの家賃は、いろんな制約が無い昔のオフィスに比べて家賃が2倍でした。「社屋が立派になった会社は気をつけろ」の典型例とも言えます。

というわけで、会社の収支グラフは「経費は上向き、売り上げは下向き」の典型的な「ワニのお口グラフ」になってしまい、またたく間に赤字に転落してしまいました。

外から見て、一般社員から見て不合理であっても、幹部や経営陣が気づかないことは多くあります。だからこそ、社外のキャリコン を入れて定期的にその声を拾う。常に経営に対する危険の芽を摘んでおく必要があると思うのです。