武器を拾いながら走る

初の国内の研究者によるエフェクチュエーションの入門書のご紹介を。エフェクチュエーションというのは、組織行動論の分野でノーベル賞を受賞したハーバート・サイモンの教え子のインド人女性研究者、サラス・サラスバシーが提唱する起業理論のことです。

例えば起業の際に、達成したい目標を立てた上でそこから演繹して計画を立て、計画に必要な資源をかき集めるのがコーゼーションだとすると、人脈や貯金、おのれのスキルなど、とりあえず身の回りにある武器を広いながらとにかく走り始め、走っているうちに、どの方向に走るべきか、つまり目標が浮かび上がってくると考えるのがエフェクチュエーションです。

考えてみれと、お弁当屋をやろうととか、ネットショップをやろうとか、それ一本で起業した人よりも、占いをやりながら前職のWEBサイト制作もやってたり、自分のリソースをやりくりしながらメインの事業を太くしていく人の方がしぶとく長続きしてたりします。しかも、そういう人は自身の個人サイトに占いとサイト制作を宣伝してたりしますが、そう、最初はそれでも良いのです、ごった煮的でも。

天才精神科医のミルトン・エリクソンはクライエントのネガティブな要素すら当人にとっての強みやリソースに転換しようとしましたし、インテルの創業者ほアンディ・グローブは「まずはカオスに支配されよ、そしてやがてはカオスを支配せよ」と唱えました。

このエフェクチュえーションという考え方、キャリアデザインやコーチング、心理セラピーなどにも広く応用が効きそうです。